復讐はするな
「復讐はするな」
という言葉は、因果応報の内実を実践にうつした言葉。
復讐すれば相手の縁者がこちらへまた復讐し、それが
延々と続く、だから自分のところでその因果を断ち切りなさい、
という意味がこめられている。
仏教、キリスト教、イスラム教で、同じ種類の言葉が経典に見られる。
復讐、というのは、なにも白装束であだ討ち参り、という古めかしい
イメージのものだけでなく、卑近な例で言えば、
相手がなにげなく言った言葉に自分がムッとして、報復反論したり、
掲示板に自分の考えと違うことが書かれていて思わず報復反論したりと、
そういうのも復讐の一種。
別に反論が悪いというわけではなく、そこに「報復」という、
礼儀を欠いた感情的なニュアンスが込められるからまずい。
ほんとうに冷静な思考の持ち主は、単に理論だけでなく、
相手の感情や場の空気を考慮に入れつつ、
トータルで話がまとまるように言葉を使うものだと思う。
なぜかというと、感情が対立すると、メビウスの輪を形成してしまい、
きりが無く続くのを知っているからだ。
だから、相手の感情を刺激しないように気をつけて言葉を使う。
これが所謂俗的に言う「できた人」のニュアンスだろう。
だから、復讐しない人は、できた人である可能性が高い。